先日、丸井グループが証券事業をスタートさせるという報道がありました。
本日、その詳細が発表されました。
社名は、
tsumiki証券(予定)
だそうです。
プレスリリースはこちら。
tsumiki証券(予定)はじまります~2018年9月 口座開設スタート~
http://www.0101maruigroup.co.jp/pdf/settlement/18_0726/18_0726_1.pdf
対象の投資信託をエポスカードで購入可能
主なサービス内容としては、「つみたてNISA」対象の投資信託を、毎月定額で、丸井グループの発行するエポスカードの1回払いで購入することができます。
クレジットカードによる投資信託の購入については「クレジット払いで投資信託を購入できるのは、日本初のスキームです」とプレスリリースで明言されています。
対象商品は3社4本の投資信託
対象商品は次の4つです。
- コモンズ投信:コモンズ30
- セゾン投信:セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
- セゾン投信:セゾン資産形成の達人ファンド
- レオス・キャピタルワークス:ひふみプラス
上記の記事で「ひふみプラスが入ってきたらおもしろい」的なことを書いていたのですが、やはりラインナップに入っていました。
逆に絶対入るであろうと思っていたeMAXIS Slimやニッセイなどの低コストインデックスは入っていません。
対象商品の選定理由について、プレスリリースでは、現在国内で販売されている投資信託約6000本から、「お客さまが長期の資産形成をしていただくのにふさわしい商品である」と判断した3社4本の投資信託と記載されています。
低コストインデックスを外した商品ラインナップが、果たして長期の資産形成にふさわしいのかというと、疑問が残るところです。
tsumiki証券(予定)のCEO 寒竹明日美氏のインタビューも公開
本日の情報公開に合わせて、tsumiki証券(予定)のCEO 寒竹明日美氏のインタビューも公開されていました。
こちらでも商品ラインナップについて言及されています。
「どんな種類の投資信託を購入できますか?」という質問に対して、「あまり多くの商品を取り扱ってしまうと、お客様が迷ってしまうと思いますのでまずは選びやすさを重視しています」と回答しています。
だったらひふみプラス一択のほうがシンプルでよかったんじゃないのという気がしないでもないです。
ビジネスデザインは世界的デザイナー佐藤オオキ氏率いる「nendo」
個人的に今回いちばんのサプライズだったのが、今回のプロジェクトのデザインを佐藤オオキ氏率いる「nendo」が手掛けるということです。
こちらの画像はプレスリリースから引用したものですが、おそらく佐藤オオキ氏のディレクションのもとにつくられたものだと考えられます。
佐藤オオキ氏といえば、今は亡きガラケーのデザインが最もメジャーかもしれません。
このガラケーのデザインと見比べてみても、柔らかい色合いや丸みを帯びた女性的なデザインなど、彼のデザインのトーンを感じることができます。
上記の「きんゆう女子。」のインタビューの雰囲気からもわかるとおり、徹底的に若い女性をターゲットにしたデザイン戦略であると考えられます。
また、デザインにnendoを起用したということで、ひとつ確実にわかることがあります。
それは、
お金がめちゃめちゃかかっているということです。
たとえばこちらの記事を読んでみると、『同時進行中のプロジェクトは400を超え、ルイ・ヴィトン、エルメス、バカラといったヨーロッパの名門ブランドから、「箸」や「樽」などの伝統工芸の職人からも信頼を勝ち取っている気鋭のデザイナーです』と紹介されています。
これだけの人にデザインを依頼するとなると、当然それ相当のコストが発生していると考えれます。
低コストインデックスとは真逆の事業戦略
コストと言えば、インデックス投資家が大好きなテーマのひとつです。
例えばeMAXIS Slimは、限られたWEB専業の証券会社のみで発売することで、紙のパンフレットなどのコストを極限まで抑えることで、圧倒的低コストのインデックスファンドを実現しています。
紙のパンフレットをなくしてまでコストを削減している人にとっては、デザインにコストをかけるなんてことはもはや論外と言えそうです。
ファンドのコストというのは、プロモーションや宣伝のコストと背中合わせになっているのです。
その点で言うと、今回はデザインにとてもお金をかけて、かなりクオリティの高いものを目指しています。
もちろん若者に投資を広げるために、デザインにこだわることは、必要な施策のひとつではあると思います。
しかし、事業を継続するからには、そのコストをどこかで回収しなければなりません。
対象商品にインデックスファンドが含まれなかったことも、こうしたコストに対する考え方の違いが影響しているのかも、なんていう邪推を思わずしてしまいます。
nendoのビジネスデザインでどこまで投資を身近にできるか
以上、コストに厳しいインデックス投資家の視点から、デザインとコストの関係について考察してみました。
とはいうものの、デザインのチカラで投資を若者に普及させるというのは、これまでになかった大きなチャレンジだと思います。
近いうちに発表される公式サイトなども、きっとこれまでの証券会社のサイトとは一線を画した質の高いUI/UXのものが生まれるはずです。
これまで全く投資と接点がなかった若者に対して、どこまでつみたて投資をアピールすることができるのか。
今後のtsumiki証券(予定)の展開に期待したいと思います。
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